2012年5月17日木曜日

Polymanga2012の美しいトロフィー

今年4月に スイスの漫画祭 " PoLymanga2012 " で、上村一夫の「関東平野」が
青年誌部門で賞をいただきましたこと、このブログでもご報告致しましたが、
先日そのトロフィーがフランスのkanaさんを経由して到着しました。
トロフィーというよりは、美しいオブジェという感じ。

生前は忙しく、また、当時漫画家に与えられる賞も少なかったと思われ、
こうして今、受賞などするとは思ってもいなかったであろう父の遺影をバックに。
クリスタルの光眩く、亡き父に捧ぐ。

2012年5月16日水曜日

ドイツ・ボーフムで

来週からドイツのボーフムにあるSITUATION KUNSTという近代美術館で
VON THANGHA BIS MANGA」(タンカからマンガまで)という
テーマでの展示が始まります。
チベット仏画タンカ・インドのクリシュナ・日本の漫画の3部構成になっており、
それぞれの宗教、文化、社会から生まれた崇拝の対象としての仏、クリシュナ、
漫画ヒーローが紹介されるとのこと。
日本の漫画では、手塚治虫「ブッダ」、中沢啓治「はだしのゲン」、
辰巳ヨシヒロ「大発掘」、上村一夫「狂人関係」の原稿が展示されます。
「狂人関係」はすでにドイツで出版されており、歴史的人物である葛飾北斎と
漫画のルーツといえる浮世絵を取り上げたという点で選ばれたようです。
ドイツCARLSEN社のサイト

当初、タンカやクリシュナの流れから漫画に流れていく感じがうまくイメージ
できませんでしたが、 手塚先生の「ブッダ」がまず最初に紹介されることで
すんなり納得できてしまう妙。
手塚作品は今でも漫画という手段で世界と繋がり、大切なことを伝え続けているんだな。


すごく立派で美しいカタログが送られてきました

カタログではこんな感じで紹介されています


2012年5月5日土曜日

タイムトリップ アンソロジー1970

1970年に描かれたマンガを集めたアンソロジー文庫「コミック1970」。
徳間書店より5月2日に発売されました。

2002年に雑誌形式で発売されたアンソロジーに石ノ森章太郎+小松左京『くだんのはは』を追加して文庫化したものです。
収録作家は手塚治虫、石ノ森章太郎、松本零士、つげ義春、ジョージ秋山、上村一夫、辰巳ヨシヒロ、日野日出志、みなもと太郎、古谷三敏、谷岡ヤスジ、畑中純。
コラムには 片岡義男、泉麻人、米澤嘉博、野口文雄、と文庫サイズにみっちりと詰まって読み応えあり。オススメです。


2012年4月26日木曜日

GWを待たずして読んでしまった「黄金街」

三田完さんの新刊「黄金街」は、表題含む6篇からなる短編集。
大事に少しずつ読もうと思ったのに、読み始めたら最後、その流れるような美しい
文章と、粋なお話に引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。
珠玉の作品集と呼ぶにふさわしい一冊です。


昨年2月、表題の「黄金街」を小説現代に発表されたとき、ちょうど渚ようこさんと
神楽坂で「渚の部屋」原画展を開催しており、三田さんも会場に来てくださいました。
帰り際、不在だった渚さんに「これを渡しておいてください」と三田さんから
封筒を渡されました。
三田さんがお帰りになった後、到着した渚さんに渡した封筒の中身が
「黄金街」のコピーでした。
さっそく読み始めた渚さん、次第に読むことに集中し始め、最後にはポロポロと涙を
流していました。その姿は今でも忘れられません。
三田さんの洞察力と人の心を動かす文章の力、そしてそれを読む渚さんの強い感受性
を目の当たりにして凡庸な私は小説を読まずして十分感動してしまったのだと思います。
いまあらためて読む「黄金街」はそうした想いも入り交じった特別な作品です。


それから、頭から離れないのは「通夜噺」という作品。
このお話を読んで私は上村一夫の「凍鶴」を思い出しました。
お鶴ちゃんが若い噺家と出会い、別れを経験する切ない切ないお話です。
人を笑わせる職業の裏にはなんともいえない切なさがつきまとうのでしょうか。
三田さんも父も人の心の機微を察知する名手、という共通点があるのかもしれません。

歌謡界、歌舞伎、俳句、などの世界に精通し、自ら楽しみつつ粋な物語にしてしまう
三田さんこそ誰より芸達者だと私は密かに思っています。
今年の黄金週間に珠玉の「黄金街」。おすすめです。


2012年4月20日金曜日

映画「サチコの幸」DVD化のお知らせ

映画『サチコの幸』がDVDとして再販されることになりました。
隠れた名作の復刻とあってとても嬉しいです。
あらためてみるとすごい豪華なメンツだなあと思います。
音楽はムーンライダースですよ。
この映画には父もちょい役で出ているのでよかったら探してみてください。
今回はパッケージも新しく、原作のサチコのイラストを素敵に使っていただきました。



『サチコの幸』
発売日:2012年8月2日
価格:3800円(税別)3990円(税込)
1976年/16:9スコープサイズ/カラー/約87分
発売元:日活株式会社
販売元:株式会社ハピネット

[キャスト]
三浦リカ/寺尾聰/浅香光代/永島暎子 他
[スタッフ]
監督:武田一成
原作:上村一夫
脚本:出倉宏
音楽:ムーンライダーズ

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2012年4月19日木曜日

「関東平野」スイスでも受賞!?

なんと、3月のフランスのブックフェア"Salon du livre"に続き、
スイスで毎年開催されるマンガの祭典"Polymanga 2012"でも
「関東平野」が青年誌部門で賞をいただきました。

スイスのローザンヌで毎年開催されるPolymanga は、2005年から始まった
日本のマンガやアニメのイベントで、年々盛り上がりをみせ、今年は3日間で
2万人を超える来場者数だったとか。

kanaから出版したフランス語の「関東平野」が、遠く離れた国・スイスの
フランス語圏の方々に支持されたと思うと感慨深いものがあります。
お力添えいただいた皆様、本当にありがとうございました。



2012年4月16日月曜日

白百合書店

下北沢駅北口に古くからある書店。
昔は確か白百合書店と呼んでいたと思う。
小学生の頃、父は忙しさの絶頂だったからいつも仕事をしていたけれど、
たまに日曜日休みを取った。
そんな日は夕方になると「行くか」と私を本屋へと誘う。
無言で父の背中を追い 、本屋へ着けばそれぞれ勝手に本を探す。
しばらくすると「なんかある?」と父が言ってくる。
いま思えば何冊でも買ってくれたのかもしれないが、控えめに2、3冊を差し出す。
「行くか」と「なんかある?」だけ。休日の父は静かだった。

久しぶりにその旧白百合書店で本を買ったからなのか、ふと古い記憶が甦った。
娘という存在にどうしていいかわからない不器用な男のその声を突然思い出した
春の一日。

人さらいのおっちゃんか