2011年9月2日金曜日

リリシズムができるまで その1

リリシズム発売を前にひとり盛り上がるわたし。
思えば.....父の仕事を母からバトンタッチした2006年秋。
引き継いだとは言っても、母も私も正直なところ父の才能は認めていても作品に強い思い入れを持たないダメな家族だったので、さして積極的に動くでもなく年月を過ごしてしまっていたが、インターネットを利用して貴重なファンの方々のご意見を聞くようになったことと、ちょうど海外でのクールジャパンブームの端っこに乗っかって作品をご紹介できる機会があり、海外の(特にヨーロッパの)出版社の方々に大変深い理解をいただいたことが嬉しくて、いつの間にか父の作品を復刻することを真剣に考えるようになった。そんな矢先、母から生前の父のある言葉を聞いた。ある夜、酔って帰った父はふと「俺の作品は残って行くのかなあ」とつぶやいたそうだ。江戸っ子風情で、宵越しの金は持たねぇとばかり稼いだお金はすべて酒代に消え、描いた原稿は事務所の押し入れに無造作に置いたまま、気前良く絵を描いては人にあげてしまっていた父。生前はとにかく忙しくて自分のことで手一杯なまま、あっという間にこの世とオサラバしてしまった印象の父だから残すとか残さないとかそんなことを考える間もないのかと思っていたが、母から聞いた父の言葉に、そりゃそうだ、男ならやっぱり自分の足跡を残したいと思うよな、いまさらながら気づき(遅いけど)、さらに奮起した私だった。つづく